魔改造短歌 A-side
#これまで詠んだ短歌に魔改造短歌のルール a) を適用して超絶短詩を添えました.順番はほぼ制作順です.
#以下本文
まぶしさが網膜のように剥がれ落ち複製できない暗がりにいる もう 幕
郊外の無限へと続く長い道を見れればそれで満足だった む 絃
外に出ようと思ったら夕立 意識はどこから降って来るのか 縊死 き
幸福を幸福と認識した瞬間に訪れるさびしさよ こう 噴く
失明も魔法のようになおるはず壊れためがねのひびのきらめき 綺羅 めき
カフェオレで酔いつつ書読む雨の夜 飲んだことないカルーア・ミルク あ 眼
しあわせな夢からさめた朝ぼらけむなしく唱える世界なくなれ 背 かい
せつなさよりさびしさがすき読み終えた小説を読み返せず閉じ 刹那 さ
時の上に懸かった月を友としてとおい祭りの夜を想う ま 吊り
平日の病院の食堂での午後は幸せであるべきだろう ご 娯
まぶしくて曇り空から目をそらし小雨ふりそそぐ橋渡りけり わ 足りけり
服の色を世界の色と取り違え身にふりそそぐ白いさびしさ そ 削ぐ
もう秋で海を知らせるポスターは古いと思った六月だった あ 黄
涙とか帰依よりもただ純粋なさびしさもとめ書をめくる午後 眼 くる
永遠の神の観念のさびしさをひとは恩寵と呼ぶのだろう えい 円
いたいけな文学青年つかまえて気が狂うまで書かせてみたい 聞が く
わたしには書けない文を書ける人 無限に妬んだあとのさびしさ ね 嘆だ
この罰は誰が考えたものなのか毎朝鏡を直視すること ちょ 櫛
呼吸すらまともにできないこんな世界のいじわるいじわるいじわるいじわる ま 友
世界史と宇宙の重みを比べればさびしさだけが後に残れり う 躊
天空に聳える雲を友として黄昏時の郊外をありく あ 陸
入り組んだ道の奥なる空間は夕空を取り込む空虚なのだろう 言うぞ ら
黄昏時のブルーとピンクと黄金を包み込むのは紫の空虚 おう 厳
暑くても散歩しないとどうにもだめだ 私が世界に追い付くために 桟 ぽ
と 教室の扉のむこうで話す声こわいこわい関わりたくない ビラ
消滅と過剰のはざまでかくのだひとはそのたびごとの永遠のため その他 び
余白がありトーンがあるのが詩なのなら改行の多いブログは現代の詩 よ 箔
いつまでも昨日と今日のあいだにて何かを忘れ何かを学ぶ わ 摺れ
睡眠がひと本来の空虚なら眠れるひとに罪はないだろう す 移民
短詩形の断片性が気に入ってもうずっと長い詩をかけずにいる だん ペン
五分前に生まれたとしても私は私のままなのだろう 護符 ん
散歩しようも歩くたびに痛みだし目の前がひどく遠い夕暮れ い 民
そびえたつ書物の塔と階段が世界のすべてならよかったのだけど そ 冷えたつ
擦りガラスの外の景色が真っ青でやっと世界が空虚になったと まっ 棹
スクリーンの ikb 好く りーん 斜めから見ればまぶさび色に染まれり
川沿いに幻視した海かがやけり 青と金色のノクターン浴び 退く たーん
読むことにしていた本が永遠の未来に逃れてゆく初夏だった しょ 火
言葉のない夏の空虚をふみしめて かがやく自転車の列を横切り じ 転写
夏空のそびえるような空虚さに祝福された横断歩道渡れり 師ゆく府 く
かぎりなく勝手な解釈で書を読みその解釈に救われた午後 会社 く
現実では怒ってないのに大切なものを壊してしまった夢だった ゆ 女
風の日の友人と会った瞬間に煙のように詩想は消え失せ け 無理
軽装で学校に来ただけなのに 衣替え? と二人に訊かれた け 位相
持ち歩く本の厚さは世界の厚さ 薄雲の空を覆えり う 直ぐも
季節なき視覚世界の空虚さのそとからゆんゆんと電話鳴る し 核
それだけでもう淋しいことだ 朝起きた世界にひとが存在するのは あ さ於き
遠景に瞬間移動できるならそのさびしさも消えるのだろう 春夏 ん
〈美〉ではなくただの記号であるはずだ山の麓の街の姿は ふ 素
ゆるやかな夢の世界に二日酔い なんだか世界が滅ぶ気がする ほ ロブ
朝起きてカフェオレからのしばらくが生まれた瞬間のように尊い う 稀
わた雲に向かって飛び立つ鳩の群れに思わず頭を低めて わ タグも
今しかできないことだから 平日の午前中に散歩するのは 御膳 ちゅー
ひ 起きるたびに生まれるわたしがわたしだったものの仕事を引き継ぐ 木接ぐ
志望動機の白紙のうえにも永遠の空虚はあるのだろうか は 苦し
夏空のもと座ってパンかじり 足元に集まる雀の声 あ 詰まる
足下に飛びまどう蝶とともにあてもなく五歩の道を歩んだ ご 穂
ゆうぐれの氷雪のような雲がわたしを濡らしわたしを見捨てる ひょ 右折
ニ時間の眠りの後に起きるだけでもひとは生まれ変わるのだろう 虹 かん
早起きしすぎて春の正午のような感じのする夏の朝だった し 擁護
夏の朝に春の正午を感じつつ布団にくるまり二度寝せり は 瑠
二度寝して起きたら正午だったとうたう日光菩薩の詩よめり う τ
六月下旬の灰色の夕空はもうすっかり秋な気がする げ 潤
灰色の夕空見ればビル間にひとり空虚を穿つクレーン く レーン
さびしくも雀の声はちゅんちゅんと樹木の葉から葉へ反響す 呪 もく
いつまでも季節を隠す透き通る灰色の空に包まれていたい は いい炉
美しい詩を見たとたん立ち上がる無力さや窓外の青空 む 緑
さびしさは静けさだから音楽に演出されたさびしさ嫌い き 頼
ひとは毎日生まれ変わるのに課せられた仕事は変わらぬままだ ま 胃に血
さびしさにつらさを変換するアダプター との一致はありません い 鎚
建物のパスワードわからず研究室に戻れぬ夕べだった わあ 怒
本を読むのに適した場所を探して散歩に出るも空は低く ひ 苦
あの霞んだ山の方ではまぶしくも雨が降っているのだろうか や 魔
水滴が頁の上にあらわれて曇り空みすてて雨宿り く 森
図書館の机に好きな本並べ離れた場所でべつの書を読む は 慣れた
ただ一緒に歩いてるだけなのにデートだなんて言わないでほしい で 絵と
そびえたつ書物の塔をながめつつ愛の鍵求め図書館デート あ 射
世界の終わりと隣り合わせでいるという贅沢抱きしめ午睡 お 割
ビュトールの心変わりのきみを皆わたしたちの名に書き換えたい びゅ 通る
海岸に沿って走る陽みるために海をさがしに川岸までゆく は 汁
何日も書肆に通い読みあきた詩を御守りとしてレジに運ぶ 暑 し
たぶんこれから一週間くらい毎朝よむことになるのだろう よ 無
大学生のうちに読みたいと書かれなさられてしまう欲望よ よ 看たい
図書館に一度よんだ詩をさがしに行くときのこの距離感がすき 師をさ がし
さびしみのなかに幸せを求めよこれがおまえへの遺言だと お 舞え
さびしみを理解できないひとという概念自体がすでにさびしい ひ 徒
二日後に忘れてしまうと知りながらさびしさ求め詩集めくれり ふ 塚
かがやきが消えるのこわくてたやすくは読み返せずに書架にもどず詩 き 得る
しあわせを求めて買ったりんごジュースしあわせ濃くて水で割った じゅ 臼
さびしさを求め歩いた賜物はおつりを渡す君の包む手 銃 む
歩くため雨が止むのを待てば夜いつまでふて寝すればすむのか ふ 手ね
起きても起きても雨ばかりで降っていなかったと唱えてもだめだ お 着て
なんということだカフェイン中毒の倦怠に詩が効かないとは けん 態
雨の日のカーテンを閉めキジバトやせせらぎの音で部屋を満たして かあ 転
川沿いを北へ北へと進みゆき片影に沿って引き返したり ひ 着かえし
台風がくるまえなのに夕空は秋のようで外歩きたい 車 え
海岸のように霞む空見て待っていたおとぎの国の台風 お 研ぎ
大切にしまっておいた欲望の荷重に堪らず抜けた引出し ひ 奇だし
まぶしくも夏の夜めく夏の夜 音ゲーマーの君のゆびさき お 妬
墓場まで持ってくほどでもないけれどせめてもと詩を書き写したり は 樺
ね 海岸に打ち捨てられたまぶしさや眠気そだてる夏霧の朝 剥け
身の丈の半分もない片影に下半身を埋め歩いて う 詰め
携帯と時計を捨てて街に出て河川敷をずっと歩けば け 痛い
文字盤の八時三十分はもうすっかり夏の果な気がする は 千路
川沿いに色とりどりの日傘すぎ詩集の目次を詩だと思う ひ 蛾さ
中川の宿を調べればよく歩くまぶしい通りのすぐ傍で や 戸
い エアコンの効いた部屋のさびしさに堪らず開けた窓より入る蚊 瑠伽
雨の日の庭を外から眺めつつ隠しているものを思いつつ か 櫛
かなたより届く花火の音だけが涼しい部屋の中に広がり と 毒
雨あがりの夕暮れ時の静けさは通りに出るまで続くよね You ぐれ
通りすがりの車がひき殺すのは 烏の声 ひぐらしの声 繰る ま
クラインの死んだ日六月六日だから IKB は夏の季語 く ライン
雲間からふっと陽が差してきて私の身体にも深い陰影 韻 えい
未知ある 陰ひとつない道歩く曇り空 君のさびしさはどんなさびしさ く
明け方の風と光と蝉の声 今日も今日とて浅き眠りを ね 無理
死魔 早朝のひえさびたる部屋にてひとり図書館はまだ閉まっており って
カフェイン中毒抑えるために水を飲む眠くて水だけで酔う ちゅー 読
階段の上から落とした涙が地上に届いてありがとうね トド いて
食パンを齧じり,ソーダを飲む 何かいけないことをしてる気になる そう 惰
空白の擦りガラスよりふりそそぐ雨音だけが存在する朝 くー 吐く
べつの世界に迷い込んだ気もしたけど蝉の声は相変わらず ま 酔い
早朝の散歩道目に映るものすべて短詩に分解してよ たん 死
おきてねてねておきてねてねておきてねておきてねてねておきてねる 掟 ね