un journal

「未知ある  陰ひとつない道歩く曇り空 君のさびしさはどんなさびしさ  く」

水遊び――短歌モドキ32

さびしさは故郷のむこうにあるカフェのキャラメルラテの泡におぼれて  あ 環

自殺ならその気になればいつだって 夏の遮断機くぐり抜ければ  瀉 だん

曇天にモネの睡蓮傘ふわり幼少時代のお城よこぎる  どん 転

きらきらの十円玉を守るため捨て駒になる五円ふたりは  呪 うえん

九時頃の商店街を歩き中 もうひとりのわたしを見たの  あ ルキ

とげとげのマジックテープにとらわれてぐしゃぐしゃになった栞紐忌  まじ 憑く

川下に鴨ゾーン,烏ゾーン,橋をくぐれば子供たちかな  ぞ 穏

墓洗ふそこかしこにて蛙跳ね わたし来世は両棲類かも  か 獲る

川縁に浮かぶさびしさ曼珠沙華 水遊びする子らを見上げる  う 歌舞

秋の声か きみのいない曇り空にもどことなく漂うものは  く 洩