un journal

「未知ある  陰ひとつない道歩く曇り空 君のさびしさはどんなさびしさ  く」

もう本を読むのはやめた――短歌モドキ33

半袖を着て出たことを悔やみつつきみまでつづく星月夜とぶ  ほ 詩好きよ

もう本を読むのはやめた ぼくたちは止まった時間のなかで生きる  よ 無

ぬばたまの夜の墓地をさまよえば浮動する九鬼周造之墓  ふ 銅

ねるまえの自動書記のセッションが成層圏をつきぬけてゆく  性 そう

恋人も傘も持たずに外に出ようもうじき雨は止むのだから  もう 時期

ものすごいことをしようよ 婚約者とか友達の名前を借りて  な 舞え

きみは昔魔女だったんだ だったんだ 八回記憶をたどってみて  き 贈

成長とかいうのは避けて生きようよ 生まれ変わりのときに備えて  そ 萎え

たくさんの書物を載せてふらふらと走る台車のようなぼくら  ふ 裸婦ら

海のない街に住めば生まれてからいちども海を見てないような  す 女

何回か一緒に映画見たっぽい街を歩いてふっと消えたい  なんか 胃

たくさんと思った茶葉が五リットル分だけだったようなひかりの  血 やば

朝ぼらけ きょうやすんでいいよと言われた気がして宝石の曇  ほー 咳