un journal

「未知ある  陰ひとつない道歩く曇り空 君のさびしさはどんなさびしさ  く」

2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

もう本を読むのはやめた――短歌モドキ33

半袖を着て出たことを悔やみつつきみまでつづく星月夜とぶ ほ 詩好きよもう本を読むのはやめた ぼくたちは止まった時間のなかで生きる よ 無ぬばたまの夜の墓地をさまよえば浮動する九鬼周造之墓 ふ 銅ねるまえの自動書記のセッションが成層圏をつきぬけてゆ…

きょうはやすんでもいいよ――詩モドキ4

きょうはやすんでもいいよ とだれかに言われて 目が覚めた朝の床の上に 差し込むひかりや宝石の曇り 完璧な配置の家具があり ここで死んだと思ったから やっぱりきょうはやすもうと 八回記憶をたどってみると 生きていて 飛行機かなにかがとぶ音がして 想像…

こんな日はあの鰯雲ぜんぶ撃ち落そうこのボトルロケットで  違和 し――詩モドキ3

違和 鳥の声が時間を止めた しずけさの中でぼくは ふかく息を吸ってから 本を開いたゆびさきが かすり傷を負って ページがめくれない てのひらに息をふきかける こんな日はあの鰯雲 ぜんぶに見下されていて 川べりにうかぶ さびしさが嫉妬するようで 傷口か…

本たちの街――詩モドキ2

あにの積み上げた本の塔がくずれ ひとつずつ拾い上げようと 手を伸ばしたその先が 街になっていて気がつけば なかを歩きまわっていた 歩くたびに失われてゆく 青空と街路の前世の記憶 詩の一節や ニュアンスのきらめきを 新しみつつさびしみつつ いつも周縁…

霧にしずむ――詩モドキ

まばゆい霧,の朝は そのまま海岸,になった 窓のそとからやってくる波の おと,がへやを水びたしにする ひるがえるカーテンは うみかぜのしるし 霧の中の無数のひとかげ 貝殻のかがやき,海のむこう側の島のかげ これ,が,わたし,の求めていたもの 「そう…